脳梗塞 ワレンベルグな日々

ワレンベルグ(症候群)は脳梗塞の一種

新しい住処【WB15】宅リハ主夫?

とある早朝、5時に嫁さんを送り出す、寝室から。
嫁さんが3年前に住み始めている住処、そこに転がり込んだ私、いろいろ教わる毎日である。タオルの使い方、ゴミの出し方など、あんまり脳梗塞あけの頭に詰め込まれても覚えきれない。
そして日中の留守番の間に、簡単な料理を独りでやることを薦められた。
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 脳は一応復活している、ついつい家の中で余計なことをしたり言ったりして、嫁さんの機嫌を損ねたりする位。妻は(いちおう世帯主)、私が黙って言うこと聞いてくれて家で主夫をしてくれたほうが助かるようである。この家にはいろんなルールが既に出来ている。そして、というか私がその新しい習慣をある程度覚えないといけないが、そもそも覚える気が無いと言われてしまう。

 この家に来て早々は、梅雨のしかも長雨。嫁さんが働きに出てる間、家の中で持ち込み荷物の片付けや転入等の手続きなどいろいろ自分のことがあったが、その辺りが落ち着いてきて、目立たない場所の掃除などしたりしていた。住処に馴れ家の中の掃除をやるくらいは、危なげが無くいいリハビリになる。そしてつい(暇に飽かせて?)気になったり良かれと思い、行き過ぎたことや提案をする(いっぽうでルールに甘くなる)。この家のルールをまず理解し切れてない暇人の私に勝手にされると、働きながら家を守ってきた嫁さんには腹が立つこともある(仮に合理的であろうと)。3年ぶりの同居生活再開も、梅雨空同様に空気が淀む。

 さて冒頭の料理であるが、嫁さんが昔よく作ったにんじんポタジューである。これを作るよう嫁さんに頼まれた。嫁さんは今日は博多へ用事に行き戻りは夜。初めてのこの家での独り料理、主夫っぽいこともするか!と朝から頑張ってみる。まずは簡単なことから、、である。
 切ったにんじんと少量のタマネギを炒め、その後水を加えて煮る。久しぶりの台所での立ち仕事、包丁の扱いも脳への刺激になるようで(書くと大したことでないのに)すんごく疲れる(苦笑)。
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何とか怪我も無く、にんじんが煮えたので、牛乳を加えながらハンドミキサーで擂り潰し完成。発症後初めての料理も思ってた以上に出来た、手抜き無し! 調味料はコンソメだけなのだが、にんじんの自然の甘みにミルクが加わり、いい塩梅。冷まして冷蔵庫へ入れ終えるとつい自我が出る。依頼されたことが上手く出来てホッとする謙虚さよりも、褒めて貰いたいくらいの自分がいる。こういう低カロリーで栄養のある自然なモノならもっと多めに作っても良さげである。
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そして、一仕事あとのお昼。昨晩の残りのバゲットに、タマネギスライスなどをざっとはさみ、カフェマシンのボタンを押す。古いデロンギが唸り抽出する珈琲、香る湯気やクレマはここ住処ならでは。そしてお気に入りのバゲット、この噛み応えや生タマネギの苦み、食感と相まって、まさに至福の(残り物)ランチ。
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ささやかな幸せのいっぽう、実家富山は大変な大雨だったらしいことをこの時にようやく知る。実家の被害は幸いなかったが、山手では今まで起きたこともない土砂崩れ。何の落ち度もない人と家族の幸せな生活が突然一変する、痛ましいできごと。

 こちら鹿児島も、梅雨明けが待ち遠しいが、天気が不安定で小雨が降ったり、明るく晴れたりを繰り返している。料理関係が終わったので、手指が汚れてもいい仕事に移る。クルマメンテ関係、久しぶりに青空駐車のワゴンR洗車でもしようかなと外へ。
ちなみにもう一台の嫁の愛車CR−Vは先日、ヘッドライト磨きだけは数年ぶりにやっておいたのだった。やはり年式の古いクルマ、くすんでしまう、南国鹿児島の太陽の日射は、強さ故にモノを痛める。本格的な夏になる前にヘッドライト以外のケアも必要だ。
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ちょうど晴れてきて、蒸し暑くなる。住処の車庫は、いつもは嫁のCR−Vが入っているのだが、今朝から出払っている。日焼けを避け日陰での洗車作業をするため車庫に突っ込むワゴンR。まさか南国の陽を浴びることになる運命とは予想してなかっただろう、雪国育ち(寒冷地仕様)のワゴンRにたっぷり水を掛けて汚れをおとしてやる。日陰の作業だが汗だく、食後のいい運動になる。
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その雪のような白いボディに、田舎ゆえ道路は土で汚れ砂のまとわりが目立つ、青空駐車には強い陽射しが容赦ない。アップダウンの多い道路状況、おまけに自転車が使えず出番も多いが、頼りにしている相棒。富山での生活を始めた時から、自分が新しい環境や状況になる時にその生活を支えてくれる相棒でもある(今後は鹿児島でもあるので(南国)白クマ号と呼ぶ)。洗車後は水気を拭き取り、嫁クルマの居ない車庫に白クマ号を停め直し、シャッターを完全に下ろす、CR−Vが戻るまでのしばしの日陰。…そう思っていたら急に小雨、また晴れ、気まぐれな南国の昼下がり。

 生活作業(の運動)と並行して、自宅リハの運動は、富山の時から継続してきた、飛び跳ねないエクササイズ(youtubeにイイ動画が見つかる)の30分。手と足をそれぞれ音楽に合わせて動かすこと、1分ごと30種の動きに合わせることが当初はほとんど出来なかったが、確実に脳への刺激になるようで、だんだん動ける体になってきた。コスパ最強、僅か30分で汗だく。人から見れば、おじさんのふらふらでグタグタのお遊戯(こういう運動が見よう見まねでもこなせる、それだけでも自分の自信になっている、半年前は寝たきりだった)。何せこの後遺症、千差万別で症状は人それぞれ。回復に正解はなく自分に合う形を探さないといけない。
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退院後の減量、筋肉、バランスアップへの効果絶大であった。しかし物事にはいい面悪い面がある。
元々右半身が失調気味なので、どうやら右脚に負担が蓄積したようだ。特に右腰、右臀部など筋肉が上手く協調して動いてないため、それほど大きな負荷運動でなくても筋肉疲労が局所蓄積したようで、右股関節痛となっている。これを和らげながら、今はマットに転がって大人しく別運動中である。
いま体力自体は、リハビリ病院の時からの運動により改善している(持久力はまだまだだ)が、もしかしたら問題は脳、フラつきの改善かもしれない。フラつきやバランスの悪さが治らない限り、運動強度を上げつづければ、腰、右股関節への過負荷、筋肉痛が何度もおこるだろう、とすればバランス、フラつき用の別のアプローチを先にしないといけないかな。
正しいと思われたことも、時に見なおすことも必要である、正解はないのである。

 夕方、少し日が陰る、虫の音。車庫から白クマ号を出し、風呂を沸かしてすこしゆっくりする。
住処の屋根の上の何十年前の古臭い太陽給湯、降ったりやんだりのこの季節の空でも、専用蛇口をひねるとびっくりする程の熱い湯が出る。南国の無限の太陽エネルギーは、悪さだけではない。

夜になり、よめさんがお土産の夕食の弁当とともに帰ってくる。遅めの夕食である。作れと言ったことすら忘れるほどお疲れの嫁さんに無理矢理ポタージュを冷蔵庫からお出しする。
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それには触れず疲れている割に嫁さん、久しぶりの博多での刺激、いろんなことがあったようで、たくさんしゃべるのだが、今日は私も疲れて脳の処理が追いつかず、反応が薄め(笑)。さらに、都会の見た目に美味しそうな弁当をたべることにしか注意が行かない私に、嫁さん、多少不機嫌なかんじ?(脳梗塞あけの人との同居に少しずつ馴れて貰いたい)。

 鹿児島育ちの明るい嫁さんと住処、そこに転がり込んだ回復途中の自分、3年間富山にUターンし発症し逆戻り。再開した同居生活と自宅リハビリ生活は始まったばかりである。