脳梗塞 ワレンベルグな日々

ワレンベルグ(症候群)は脳梗塞の一種

嫁さんの三連休で、

日本全国、猛暑と豪雨被害でたいへんな週末だとテレビが伝えている。鹿児島の住処は、適当に雨が降り、そこそこ晴れれば、チリチリと陽射し強いがカラッとして、お茶畑広がる台地を吹き抜ける風も、湿り気が抜けて少し軽い感じ。
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嫁さんの3連休、静養リハビリ中の私も(付き合う)。  初日は、嫁がしばらく行けてなかったという運動をしに都城の安いスポーツクラブに行くというので、嫁のCR−Vの助手席の私。都城はもう一年近く行ってないし、CR−Vに乗るのも鹿児島上陸後初というお久しぶり状態。
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まずはCR−Vへの儀式。助手席で、もぞもぞと、iPhone 4S(ios6.1.3)を持ち込み、2011式CR-Vの古い純正HDDオーディオとUSBでリンクするのを確認(iphone 5以降ではだめ、4Sでもこのosより新しいとナビが噛み合わないのだ)。そしてituneで入れたCafe Blue Noteを静かなCR-Vの助手席で。邂逅ともいうべき旧式デバイスたちの融合、そしてこのクルマ、ホンダの枯れてはいるが名機K24Aと躾のいい5速ATの胸のすく加速、古いモノなりの良さがそこにある、いい気分の昭和生まれのおじさんだ。(でも帰り道は酔ってしまう、さすが脳梗塞
嫁さんの寄り道が少しあり、40分くらいした11時にスポーツクラブ駐車場着。ここで嫁さんと別れる、本来なら近くにあるブックオフに私を降ろしてくれても良かったが、時間が押し気味になって「勝手に行ってきて」ということだ。仕方なく不慣れな運転のCR-V都城ブ〇クオフへ、でも五分位である。
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ここに来たのは確か数年前で、本はけっこう充実してたような記憶だったが、どこの店も最近はオモチャ系が幅を利かせていてこの店も例外でない、でもいい本(文庫本)に巡り会えた、「暮らしのさじ加減」である。松浦弥太郎氏ともちょっと違う彼女の、特別なことは何もない、平凡な暮らし方に共感してしまった。海外駐在後の日本、毎日が犠牲になって「特別の日」を作らないとバランスが取れないと錯覚してた帰国後の10年くらい(前出のCR-Vも一回払いだったからなぁ)。無理をし、不摂生のツケが回りいまこうして生かされ、過去を反省したり肯定したりしながら、進んでいる自分がある。
運動に汗する嫁さんから一時間もしないうちに呼び出しのメッセージ、会計220円を払い嫁のところへ戻る。もう昼だ。

昼は、前の晩にリサーチしておいた、資さんうどん(北九州うどん)にいった。ビンゴだった。
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ミニのごぼ天うどんとミニの親子丼(牛肉と豚肉が勝手に入っている)で800円くらい。どこにでもあるようなセットだがうどんも米も旨いのだ、量も(私には)丁度いい。昼時だが混んでおらずふたりでゆっくり広い席で食べれるのが幸せ。…以前なら、せっかくだからと奮発、評判の小さなイタリアンに常連の顔して、混雑する店内で隣席の話し声をBGMにコースランチ、甘いデザートと〆のエスプレッソまでお一人2000円程お会計してようやく満足、というところだったが、いまの(無職の)病み上がりの自分(と嫁も?)にはこれで十分すぎる。
食後、セカストを冷やかして、街に長居は無用と買い物もせず家へ直行。この帰り道でCR-Vに酔ってしまったのである。駿馬のように逞しく山道を駆け抜けるクルマ、しかし酔いはじめ徐々に口数が減る自分。運転しながらも気を使い何かと話しかける嫁さん、何とか必死に言葉を返すが嫁には聞こえない、ならば話しかけるなと気分が悪くなるのだった。噛み合わないときはあるものだ。
帰宅後は、デロンギのカフェマシンをポチ。住処の居間でこの一杯があれば復活、落ち着く自分。

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そういえば、嫁さんは昔から松浦弥太郎氏は編集長だった本を定期購読していて彼を知っていたのだった。かみ合うところは(意外と)有るんだ。

 二日目は、家でゴロゴロ(の私)。寝室兼書斎で読書か寝転ぶ、あるいはブログ記事の校正。嫁さんが近くのスーパーへ買い出しにいく、が(留守番して)ついて行かない。今日は自宅がいい。
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この革のチェアは、主人(主夫?)となる私を3年間ここで待っていたのかもしれない(2004年のフランスの骨董屋で購入している)が、カビが少々生えていたので綺麗にメンテして使う(購入してからかれこれ20年になるわけだ)。
そして富山からワゴンRに積んできたiMacやリモワなどと共にこのシャープの除湿空気清浄機が、この狭い寝室兼書斎でカビの抑制と除湿で一日中活躍する、予想していなかった。この住処は過去に増築を繰り返した歴史のせいか、この隅の部屋は湿度が70%前後。古い田舎の家に住むことは、いいこともあり耐えるべき所、事もある。その工夫もまた楽し。

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寝室つながりと言えば、名絵画 アルルの寝室。
原田マハ氏の「美しき…」を読み終える。以前も書いたが、松方コレクションの本人、松方幸次郎という男の生き様、そしてそのコレクションに関わった日本人、フランス人が戦前、戦後を生き抜いて、、という物語。第二次大戦で敗北した日本、米国の占領下から国としての体裁を取り戻すまでの国際政治(の駆け引き)までも落とし込んで書かれた、読み応えのある物語だった。日本が頼んだがフランスがどうしても返還してくれなかった松方コレクションの一つゴッホの傑作「アルルの寝室」、これが物語の後半、2つの光と影のクライマックスになっている。
蛇足だが、アルルはゴッホがある時期住んでいたフランス南仏の町だが、絵画ではアルルの跳ね橋も有名。駐在中に旅行で行ったが、ものすごい暑い日でメラメラしてクルマのエアコンが効かなかったことしか覚えていない。たくさんの名所を彷徨ったが、そういう場所もある。
歴史の全てが輝いていたといえば嘘になる、物事は表の陽の当たることがあれば、裏側の陽の当たらない陰の部分もある、マハ氏は物語のなかでその影を描きそして光を引き出すのだ。
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 三日目、も家に居て、陽が少し陰った夕方前に、嫁さんが草刈りをするので見ておきなさいという。梅雨も明け、草も毎日生え続ける夏は、毎週のように刈る(と嫁さん)。田舎では当たり前の作業である(らしい)。陰ったとはいえ外仕事、汗が噴き出す嫁さん。
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見てのとおり、帽子から靴までフル装備、本格草刈り機(この辺では「ビーバー」と呼ぶらしい)を操る農婦でも有る嫁さんである。
ヒモで引くスターター、燃料は混合ガソリンの2ストのエンジン式で重く振動・騒音が激しい、草を刈る刃は鋼鉄のギザギザのこぎり刃、さわるモノを皆,傷つける♪ 子供や病人には危なくて扱えない。
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肩に専用の装具をつけて、草刈り機が暴れないようハーネスで固定、回転と同時にエンジンが唸り騒音もものすごいのだが、それを操る嫁さん、違和感がないたくましさに複雑な思い(この3年間の独り生活、加えて直近の看病往復の半年の苦労を思うと)。ただし彼女はここが生まれ故郷であり、こういう田舎暮らしのDNAが流れているのだった。富山も田舎だけど市内の住宅地で育った私とは違うのだ。元より病み上がりで足元が危ういので 離れたところで見張りと刈った草をかき集める、こういう加勢しかできないのも少し情けない。陽の南国鹿児島、陰の北陸富山、DNAの違う老夫婦が諸々有ってここに。
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こうして、(嫁さんの)田舎の3連休は、特別なこともなく過ぎていくのである。